文字サイズ

  • 特大
病院代表
病院代表 0263-28-3003
外来予約専用
病院代表 0263-28-3020

当院の外科について

大山外科部長からのご挨拶

 このたび、外科部長として丸の内病院に赴任いたしました。国立がんセンターのシニアレジデント(胃外科)修練後、癌研病院(現、がん研有明病院)に20年あまり勤務いたしました。大塚の癌研病院は、総合癌外科医を育てる施設であったので、胃癌以外の大腸癌、肝切除、膵癌治療なども行っていましたが、有明に移転後は、臓器別診療となり胃癌手術と肉腫(脂肪肉腫など)の手術を行いました。多くの進行胃癌患者さんを手がけ、手術例は約2000例です。治療成績を表に示します。

大山医師胃癌治療成績

表1.大山医師 胃癌 治療成績(自験 約2000例 根治切除 5年生存率)

病理stage IA IB II IIIA IIIB IV
大山 95.2% 91.6% 80.8% 69.3% 52.3% 23.7%
全国集計 91.9% 85.1% 73.1% 51.0% 33.4% 15.8%

表2.大山医師と全国集計平均 5年生存率の比較( 全国集計出典:2001年胃がん学会全国集計)

治療成績は、大きく全国集計を上回っています。手術ができないと言われた方、胃全摘と言われた方など多くの患者さんのセカンドオピンニオンを歓迎します。

前任地は金沢で、4年間、金沢医療センターに勤務しました。地域がん診療拠点病院ですので、各種のがん外科治療や化学療法、緩和治療など包括的ながん治療に従事しました。

丸の内病院は、これまで中信地区の整形外科、母子医療の中心的な医療を担っていました。今後は、がんに対する手術治療、化学療法、緩和治療にも力を入れていきたいと存じます。

悪性腫瘍の患者さんは、ご紹介から2-3週以内に手術が出来るように診療を行っていきたいと考えています。また、急性虫垂炎、鼠径ヘルニアなどの疾患では、腹腔鏡手術を導入する考えです。

近隣の医療関係者の皆様、ご指導、ご鞭撻、どうぞよろしくお願いいたします。

外科医師

当院の外科医の構成は、5名(非常勤1名)で日本外科学会の指導医が2名、専門医が3名の構成です。うち2名は、日本小児外科学会の専門医でもあり、小児手術はこの2名の専門医が行っています。消化器・一般外科の手術は、指導医2名と専門医1名で行っています(詳細は医師紹介を参照ください)。昨年は、50例あまりの消化管手術を行いました。縫合不全ゼロ、手術死亡ゼロでした。
手術環境が整いましたので、肝胆膵癌の手術も行ってまいりたいと考えています。急性虫垂炎はすべて腹腔鏡手術を行い、後半から鼠径ヘルニアも腹腔鏡手術を導入しました。傷が小さく痛みが経度です。早期退院が可能です。診療の具体的な内容は別途記載致しますので、ご参照ください。

主な対象疾患

消化器外科:胃癌、胃粘膜下腫瘍, 小腸腫瘍、大腸癌、直腸癌、急性腹症(腸閉塞、急性虫垂炎) など
肝胆膵外科:胆石症など 膵癌、大腸癌肝転移など
一般外科:鼠径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなど
肛門外科:痔核、直腸脱など

診療の内容

胃癌

術後後遺症の少ない手術を目指し、早期胃癌は、低侵襲である腹腔鏡手術(図1)を基本にしています。最新の胃癌治療ガイドラインに従い、病状や治療法を理解していただくため、外来に患者さん用の「胃癌治療ガイドライン一般用」を用意しています。治療経過の概要であるクリニカルパスは、早期に社会復帰するためERAS(早期回復プログラム)パス、がんリハビリテーションを導入しています。早期胃癌では、幽門保存胃切除術(図2.がん研有明病院ホームページより転載(一部改変))を積極的に行っています。術後ダンピング症候群を軽減する手術法です。また、自律神経を温存し術後胆石症などの発生を防止するよう工夫しています。

  • 図1. 腹腔鏡(補助)下胃切除術

  • 図2.幽門保存胃切除術

できる限り胃の全摘を避けるようにしています。噴門から2cm離れていれば胃を残すことが可能で、噴門部(食道胃接合部癌)のちいさな癌では、観音開き法(図3.上川康明ほか 手術52:1477-1483, 1998より引用)

図3.観音開き法

を用いた吻合法を行っています。この観音開き法は、これまでのさまざまな噴門側胃切除後の再建法の中でもっとも逆流性食道炎の少ない再建法です。早期癌の方は、術後10日前後で退院を予定しています。
進行胃癌では、根治性を重視し適切なリンパ節郭清を伴う手術を行っています。 リンパ節転移が高度な患者さんでは、術前化学療法を行い治療成績の向上に努めています。経口摂取が不十分な方、術後補助化学療法を受けられる方、胃全摘となる方では、NST(栄養管理)チームと協力して入院治療を行います。進行癌の方の退院は術後14日から21日をめどにしています。

GIST(胃粘膜下腫瘍)

胃粘膜下腫瘍は、胃壁の筋層から発生する腫瘍です。カハール細胞という運動機能に関与する細胞が由来とされています。顕微鏡の免疫染色でC-kit陽性となるのが特徴で、消化管間葉腫瘍GISTと呼ばれます。腫瘍の悪性度は、腫瘍の大きさと細胞分裂能で規定されます。一般的に2cm以上のものは手術適応とされています。5cm以上になると転移の可能性が出てきます。したがって、2cm-5cmのあいだに治療を受けることが大切です。手術は、5cm以下のものは腹腔鏡手術が可能です。最近では、消化器内科医と共同で行う腹腔鏡・内視鏡合同手術LECSが行われています。当院でも、この治療を行っており、胃の切除範囲が小さくなるよう、術後愁訴が出ないよう心がけています。

大腸癌

大腸癌治療ガイドラインに従って治療を行っています。ほとんどの手術を腹腔鏡で行っています。大腸癌の腹腔鏡手術では、お臍と左右2箇所ずつ計5箇所の傷で手術がおこなわれ、お臍のところで吻合が行われます。可能なかぎり肛門機能を温存する術式を採用しています。StageIIIの方には再発予防のための術後補助療法が必要となります。大腸癌の化学療法は毎年新しい分子標的治療薬が開発されるなど、進歩が著しく選択枝も増えています。ガイドラインの選択枝の中から患者さんと相談し、ライフスタイルに合った化学療法を行っていきます。

胆石症

胆石症は良性疾患ですが、無症状胆石症でも定期的(最低1回/年)な超音波検査は受けていたほうがよいです。胆管に結石がある場合は治療(内視鏡的乳頭切開砕石術)の対象になります。胆石症で腹痛、発熱、黄疸や褐色尿に気付いた時は受診下さい。胆嚢ポリープの大多数は5mm以下のコレステロールポリープですが、10mm以上では癌との鑑別が必要になり、手術適応とされています。腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われます。術後3-5日の入院で済みます。胆道には様々な破格があり、術前の精密検査MRI検査(MRCP)や内視鏡検査(ERCP)が必要です。膵胆道合流異常症は、がんのリスクの高い疾患です。予防的手術が勧められています。

鼠径ヘルニア

いわゆる脱腸です。鼠径ヘルニアは下腹壁動脈を指標に外側の外鼠径ヘルニアと内側の内鼠径ヘルニアに分類されます。従来は、鼠径部を5cm前後切開する前方アプローチと呼ばれる手術を行っていました。 当院では、腹腔鏡手術TAPPを導入しました。お臍と5mmの傷2箇所の傷で手術を行います。腹腔内から行ないますので、反対側も観察できます。

図4

図4

また、大腿ヘルニア(外腸骨動脈内側)の観察・治療もできます。ヘルニアの部分の腹膜を切開し、メッシュを当て腹膜を閉じてきます。(図4)1-2時間前後の手術で、傷はしばらくするとほとんどわからなくなります。全身麻酔で行いますので、当日入院なら2-3日の入院、前日入院の場合3-4日の退院です。 実際の右鼠径ヘルニア患者さんの写真をお見せします。お臍からカメラを入れると図5のように見えます。真ん中のくぼみがヘルニア囊です。腹膜を切開し、先ほどの図の血管や精管などを傷つけず剥離してメッシュを置き、タッカーと呼ばれる吸収性の針で固定し腹膜を吸収糸で閉じてきます。(図6)

  • 図5.右外鼠径ヘルニア

  • 図6.メッシュ挿入・腹膜閉鎖

虫垂炎

虫垂炎も腹腔鏡手術で行います。(図7、図8)腹腔内の観察が容易で、開腹手術よりも創感染が少ないと言われています。ただし、慢性的な虫垂炎の場合は、周囲への癒着が強く剥離が難しいことがあります。

  • 図7.急性虫垂炎

  • 図8.虫垂間膜・虫垂根部処理後

肛門疾患

痔核に対して薬物療法、痔核硬化療法(ジオン注、ALTA療法)、切除手術などを行っています。痔核硬化療法は、手術をしないで治す治療法です。直腸脱は、高齢の女性に多い病気で、お元気な方には、腹腔鏡手術を行っています。心臓などの合併症が多く全身麻酔が困難な場合は、経肛門的手術を行っています。

診療実績

昨年度より50例手術件数が増えました。縫合不全ゼロ、手術死亡ゼロです。
入院総数:238名 平均在院日数:10.7日でした。

地域連携

ご紹介いただいた患者様には、来院時、手術後、退院時など適時診療情報提供を行うだけでなく、積極的に「かかりつけ医」の先生に逆紹介を行っていきます。
どうぞ、患者さまのご紹介をお願いいたします。

学会活動実績

【参加学会】
日本外科学会、日本小児外科学会、日本消化器外科学会、日本乳癌学会、日本臨床外科学会、日本胃癌学会、日本大腸肛門病学会、日本静脈経腸栄養学会、日本癌治療学会、日本緩和医療学会、日本人間ドック学会、日本内視鏡外科学会

【学会発表】
1.北野 悠斗, 大山 繁和, 武居 亮平, 牧田 直樹, 八木 康道, 古川 浩之, 大西 一朗, 菅原 正都
進行胃癌術後に特異な晩期再発を来たし切除術を施行した印環細胞癌の2例
第72回日本消化器外科学会総会 (2017.07 金沢)

2.五十嵐 淳, 山本 知子, 佐藤 篤, 大山 繁和, 石曾根 新八
総腸間膜症に合併した左傍十二指腸ヘルニアの1例
第79回日本臨床外科学会総会 (2017.10 東京)

【司会】
大山 繁和:第72回日本消化器外科学会総会 胃・十二指腸:胃―悪性 2017.7.20
大山 繁和: JDDW 第15回日本消化器外科学会大会 胃(手術治療(悪性)) 2017.10.12
大山 繁和:第79回日本臨床外科学会 ビデオワークショップ「ここを工夫した私の手術手技(胃)」 2017.11.23-25

【論文】
1.大山 繁和, 山本 知子, 五十嵐 淳, 佐藤 篤, 石曽根 新八:
【外科手術器具の理論と使用法】VIII.その他の手術器具・材料 開腹手術に用いる鑷子の種類と使用法
:外科79巻12号 Page1303-1305 (2017.11)

2. 清家 拓哉, 加賀谷 尚史, 小村 卓也, 中井 亮太郎, 清水 吉晃, 大村 仁志, 太田 肇, 大山 繁和, 川島 篤弘, 鵜浦 雅志 急速な増大を認めた成人男性における巨大後腹膜成熟奇形腫の1切除例
日本消化器病学会雑誌114巻6号 Page1008-1014 (2017.06)

3.谷川 允彦, 山上 裕機, 大山 繁和, 桜本 信一, 稲田 高男, 小寺 泰弘, 北川 雄光, 大村 健二, 寺島 雅典, 坂田 優, 梨本 篤, 山口 俊晴, 陳 勁松, 野村 栄治, 李 相雄, 竹内 正弘, 藤井 雅志, 中島 聰總 臨床試験紹介 胃癌術後補助化学療法(S-1)における抗癌剤感受性試験の検証(JACCRO GC-04久保田記念試験 胃がんperspective 9巻1号 Page60-67 (2017.03)

手術症例数

    2013 2014 2015 2016 2017
良性 0 0 1 1 3
悪性 8 8 2 4 5
(腹腔鏡) (1) (2) (1) (0) (6)
良性 12 13 13 10 11
悪性 21 16 12 15 24
(腹腔鏡) (15) (12) (7) (10) (23)
2(肝) 1
胆嚢 胆嚢摘出術 26 22 20 10 16
(腹腔鏡) (24) (19) (15) (7) (15)
ヘルニア
(腹腔鏡)
(成人) 28 38 35 34 33
(17)
ope 21 7 8 13 10
ALTA 8 3 9 8 5
虫垂(腹腔鏡) 22
(22)
乳腺 良性 7 4 3 3 3
悪性 9 9 10 12 17
体表他   4 6 5 4 4
小児外科 ヘルニア 27 28 25 25 35
停留睾丸 5 1 2 3 6
合計   180 155 146 142 191
TOPへ