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2023.04.05

Dr.Tのつぶやき 振戦

先日外来で、数ヶ月前から右手が震えてわずらわしい、と訴える50歳代の女性を診察しました。

 

会話中に横目で右手を見ると、たしかに親指と人差し指で丸薬をこねるような不随意運動をしています。

 

「あれ?パーキンソン病かな?」

 

 

そこで、手首や肘などで筋トーヌスを調べてみましたが、rigidityは全くありません。

姿勢反射も正常で、顔貌や歩き方にも問題はありませんでした。

 

 

そこで、pill rollingはあっても他のパーキンソン病の症状がないので、私は治療の必要のない振戦ということで、本態性振戦と判断しました。

 

 

 

けれども、念のために、この日たまたま内科外来に来ていた神経内科の大先輩に、診察を依頼しました。

同席して診察を見せてもらったのですが、「確かに、振戦以外にパーキンソンの症状はないね。」とのことでした。治療の必要がないという点も一致しましたが、しかし、彼の診断はパーキンソン病でした。

 

 

その根拠は、「本態性振戦ならだいたい左右対称的に出るよ。この人は右手だけ。パーキンソン病のごく初期だと他に症状はなくてもいいからね。」ということでした。

 

 

このような時には、経験の差が出るものですね。

 

 

大学病院などの大病院に長くいた私のような医師にとっては、患者は、あちこちの病院を回って、その間に症状も全部出揃って、検査もほとんど済み、診断名もついてから診察することになるので、診察時に困ることはありませんでした。

 

 

しかし、町の小さな病院では、発病初期の患者が不完全な症状のみで診察に来ることが多いのです。

このような初期の患者で診断を正確に下すことはとても難しいです。

 

 

学生時代の教科書を見直してみると、右手の次には右足に振戦が来ると授業で教えてもらった自分のメモ書きがありました。すっかり忘れていましたが、しっかり教えてもらっていたのです。

 

 

今回「ああ、パーキンの初発って、このような症状なのね、」と改めて勉強することができて、私にとっては、とても得難い経験でした。

 

 

また、経験年数だけはすぐに一人前になるものですが、何歳になっても、わからない時にはすぐに尋ねることのできる人間関係を構築しておくことも、大切だと強く思いました。