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2021.11.18

比較人類学

 

ハロウィンの季節が過ぎ、クリスマスが近づいてきました。

ハロウィンといえば、渋谷の馬鹿騒ぎがテレビでクローズアップされますが、最近は日本各地でも子供達がアメリカのようにお菓子をちょうだいと言って、各家庭を回る行事が行われるようになったように思います。

 

実際にアメリカで初めてハロウィンを経験したとき、「あ、これって、地蔵盆と同じだな。」と自分の小さい頃を思いました。

 

 

地蔵盆というのは松本にはありませんが、子供のお祭りの一つで、お盆の時に町会にあるお地蔵さんの化粧直しをして、どこかの家に祭壇を設けて、その家の前には大きな樽を一つ置きます。そして、誰かが通ると、「おじさん、参って。おばさん、参って。」と呼びかけて、通行人にその樽にお賽銭を入れるようにお願いするものでした。辻、辻で町中の子供からたかられるので、大人はその日仕事をするのは大変だったと思います。

 

 

そのお賽銭は夕方に町内の子供で山分けにする仕組みで、額は忘れましたが、1日頑張るとそこそこの額になったので、子供ながら一生懸命におじさんやおばさんたちにお賽銭を呼びかけたものでした。

 

 

11月はアメリカではハロウィンだけではく、サンクスギビングデイもあります。

 

これはアメリカ人には一大イベントで、11月に入ると町中がそわそわして今年はサンクスギビングに何をやるか、プレゼントをもらったら何を買おうかと皆一生懸命に考えていました。

バスの運転手さんは海賊や天使の格好で運転し、街中には中世の貴族や剣士、ダースベーダーや帝国の兵士、不思議の国のアリスが歩いたりと、様々でした。

それだけではなく、このサンクスギビングは普段は遠くに離れて暮らしている親族との再会をする時期としても大切な日でした。

 

 

私の留学先の教授宅に御呼ばれしたのは、全米から彼の親戚が集まって一緒に会食する席でした。アメリカ人はこうして家族の結束を保っているのだと理解できました。

 

 

でも、その先生のお子さんは孫も一緒にパートナーの両親のお宅に行ってしまって欠席されていて、とても残念そうでした。

で、私に言いました。「でも、クリスマスにはうちに帰ってくる。」親の愛情に国境はありません。この時も、「ああこれも日本と同じだなあ。」と思いました。

 

 

私も結婚して子供ができたときはお盆に妻の実家に挨拶に行き、お正月には自分の実家に行きました。

日本は盆と正月、アメリカではサンクスギビングとクリスマスなんです。

 

何年か前にどこの国も同じだと、この話を信大共通教育の先生に話をしたところ、「ああ、それは比較人類学と言う分野です。」と教えてくれました。

アフリカやアラブの世界にもきっと子供が帰省する時期が年に2度あるのだと思います。